明日の千葉を見つめて
活動日記
腑に落ちる
11/10/20

 今日は、朝のモーニングセミナーに始まり、昼の内外情勢調査会、そして夜のJC例会と講師のお話を聞く機会が多く、非常に勉強になりました。

 千葉市中央区倫理法人会のモーニングセミナーは、首都圏副方面長の高橋哲也研究員をお招きして、「いのち燃やして」というテーマでご講演頂きました。
 社団法人倫理研究所では、毎年、中国のモンゴル自治区内の砂漠を緑化するため、年3回「砂漠緑化隊」を派遣しております。この緑化隊は砂漠を緑にしたい!」という思いをエネルギーに行動した遠山正瑛博士の考えに共鳴して行ったいるもので、遠山博士の77歳にして、まさに「いのちを燃やして」砂漠緑化に取り組む姿勢に感動しました。
 今回は、この遠山博士の話から、この緑化隊に参加した会友の息子さんの話になりました。昔からレスリングの猛者として知られていた彼が挫折し、自暴自棄の生活をしていた中で臨死体験をし、もう一度人生を取り戻そうとまじめに学校に通い始め、その時に騙されるような形で参加した「砂漠緑化隊」の中で、両親の愛情の深さを知ったという話でした。うまく伝えることができませんが、希望を持って進むと道が拓くことができると感じたいい話でした。

 内外情勢調査会は、文化庁長官の近藤誠一氏をお招きして「文化:日本復活の鍵」というテーマでご講演頂きました。普段、内外情勢調査会については、千葉支部の勉強会だけ参加してきましたが、今回は文化庁長官の講演ということで、もしかしたら加曽利貝塚の世界遺産登録について少しでも話す機会はないかなという安易な思いから今回の本部の勉強会に参加した次第です。しかし、会場入りしてびっくり。1000人の以上の参加者がおり、参加者も黒塗りで送り迎えさえるような方々ばかり。講師に話しかけるような雰囲気は一切ありませんでした。千葉支部と同程度の規模を考えていた自分が本当に恥ずかしいです。
 しかし、安易な動機で参加した勉強会ですが、非常に内容はよく、我々が朧げながら感じていたことをうまく言葉にして頂いたという感じで、まさに「腑に落ちる」という感じを得られました。
 以下、要点をメモ書きしておきます。

・日本ではまだまだ文化芸術に対する地位が低い。(ex.会社の残業を切り上げ、オペラを見に行くというと白い目で見られる。)
・文化芸術は余生を楽しむもの程度の扱い。
・しかし、文化芸術で経済力をますことができると確信している。(因果関係は証明できないが。)
・まず、文化芸術の効用の1つに、他人の感動(悩み、祈り等)を共感できる。
・人には感動を表現し、共感したいという欲望がある。
・ラスコーのクロマニヨン人の壁画が素晴らしい。
・ある文化人類学者は、ネアンデルタール人は共感力がなく絶滅したが、クロマニヨン人は共感力があり繁栄したという。
・文化や芸術は神や自然への感謝や畏敬の念を表現しようとするものである。
・効用の2つに、生きる力、希望が湧いてくる。感動すると体にいい作用を及ぼす。
・落語は癌に効く。アメリカでは笑いが糖尿病に良いという話もある。
・効用の3つに、コミュニケーションが広がる。コラボレーションの力が湧く。
・ブレア政権では政策として文化芸術を通じて移民の方々を社会に取り込むことをした。
・社会に取り入れる過程で新しい文化が生まれる。
・効用の4つに、観光資源になる。
・効用の5つに、国際力が増す。(クールジャパン、クールブリタニアなど)
・これらの5つの力が活かされているのか。実際に需要があるのか。
・内閣府の調査では、徐々に国民は心の豊かさを求めつつあるとの結果が出ている。特に高齢者層に多い。
・日本には多くの資産がある。
・人材も豊富で、国際的な賞を獲っている人が多い。(ノーベル化学賞受賞者がアメリカに次いで2位)
・有形無形の文化遺産も多い。
・禅は中国で滅びたが、日本では現在でも800年間伝承したお坊さん(名前を聞き洩らしました)の誕生日を祝っている。感謝の念を忘れない。
・茶道も中国で滅びたが、日本では洗練され、独自文化として伝承している。
・海外では祭りなどの無形文化遺産は戦争などで滅びているものが多い。(日本は海外から侵略がなかったため残っている。)
・日本は自己表現力は低いが、他のイノベーションが高い。
・需要と供給は確実にある。では何故、それらがつながらないのか。
・文化庁もアートマネジメントを行っているが、まだまだ。
・まずは発想転換。
・自治体も芸術文化にもっとお金をかけるべき。
・さて、世界はどうか。金融危機。株価の乱高下。先進国も経済が不安定。アラブの春。有限資源の枯渇。
・17世紀から、民主主義、市場経済、科学技術の3つのメカニズムが主役。
・制度疲労が起き、民主主義はポピュリズム化し、重大な課題に取り組めない。市場経済は自分だけ良ければよいという個人主義に。科学技術が現在の原発問題を引き起こしている。
・システムが悪いのではなく、使い方が悪い。自分の欲望だけで使っていないか。思い込み、過信があるのではないか。メカニズムに任せていればよいという過信もないか。
・やはり使いこなす能力(倫理、規律など)が必要。
・そこで、芸術文化の5つの力が必要になってくる。
・それによって、よりそれらのメカニズムが有効に働く。
・文化的素養を身につける。
・これは日本だけの問題でなく、世界も同様。
・3.11:神(自然)は何を伝えたかったのか。
・3.11はそれらの過信に対する警告だった。
・人間の思い上がりに対する警告は昔からあった。人間の賢しらの戒め。(ex.バベルの塔(旧約聖書)、渾沌(荘子))
・9.11も警告だと言われていたが、何か変わったか。何も変わっていない。空港のセキュリティが厳しくなった程度。
・日本の文化特性にはまず一つに「自然観」が挙げられる。西洋文化との大きな違いで、人間といえども自然の一部にしかすぎない。
・「共生」という言葉があるが、これは別々のものが共に生きることであるため、「共生」では不十分。
・二つに「曖昧さの受容」がある。白黒はっきりさせない。善か悪か、敵か味方か。能の「八島」や芥川の「蜘蛛の糸」のように単純な二元論でなく、善人にも罪があり、罪人にもいいところがあるという話が日本には古くからある。
・三つに「絶対的な平和思想」がある。生きとし生けるものが極楽浄土にいけるよう中尊寺金色堂を建立したり、能の「敦盛」では敦盛の首を獲った熊谷直実が出家するなど侍にも平和観があった。
・四つに「異なった文化を昇華し、洗練する」特性がある。
・日本は少子高齢化など「問題先進国」と言われているが、これからの日本の復活は世界の先取りになる。「問題解決国」になるチャンス。
・世界の近代化は400年前から、その間に3つのメカニズムに歪が生じている。解決は難しい。
・日本の近代化は明治維新の150年前から。しかも元来持っている日本的な感覚が残っている。
・日本は西洋文化を導入し、失敗と成功を繰り返してきたが、日本の伝統にそぐわない。
・日本文化が世界で人気があるのはなぜか。
・サブカルは現代風にアレンジされているが、根底には日本文化的なものがある。何となく世界の人々も感じている。
・トトロは人気。自然との一体感の象徴。
・パラダイムを変える。
・失われた20年は産みの苦しみ。
・新しい文化を創造する。それぐらいの気概を持つ。それに力を与えるのが芸術文化である。

 以上のようにメモだけでは伝わりにくいですが、これからの時代は日本が世界をリードするような非常にスケールの大きな話が聞けて、何だか元気が出てきました。
 私も「スポーツとアートのまちづくり」を標榜しているのですが、今回の話のスケールの大きさに何だか自分の政策が矮小なものであるかのように感じてしまいました。ただ目指すべき方向性は間違っていないと思いますので、これからも自信を持って取り組んで参りたいと思います。

 最後に、社団法人千葉青年会議所の10月例会として、元杉並区立和田中学校校長の藤原和博先生をお招きしてご講演頂きました。 
 以下、またまたメモ書きをしておきます。

・つかみはさだまさしネタ。
・簡単な自己紹介。2003年から5年間の任期付き採用で民間校長に就任。現在は同じくリクルート出身のシロタ氏に引き継いでいる。
・当時の和田中は、生徒数169名の杉並区で一番小さい学校。統廃合の対象だった。
・現在は、約450名。成績も8年間上がり続けた。数学で去年区でトップになった。英語は5年前からトップ。国立と比べても遜色ない。
・元々問題の生徒も多い。
・虐待が多い→基礎学力の低下→全校で対応
・そこで、土曜てらこや通称ドテラ)を始めた。土曜の午前中に地域社会の方(主に教師志望の大学生)に先生をしてもらう。先生には部活と授業という本来の仕事に専念してもらう。
・ここでいい効果が生まれる。自信を持つと教える側に廻る。これがいい循環。
・逆に出来る子を伸ばすため、英語アドベンチャーコースを開始。土曜日に英語を3コマ足す。
・そして、夜スペ。夜の空き教室を塾として活用。当時はSAPIXが受託。
・裁判にもなったが勝った。
・都は生活保護世帯に補助を出すようになった。
・きちっとやると結果が生まれる。結果を出すのに時間がかかるというのは嘘。
・私の話はおとなしく聞かなくていい。
・授業で「わかる人?」と聞くとみんなシーンとする。
・高波、高潮、津波の違いを説明できるか。津波、津波と言っているが意外と知らない人が多い。
・去年発刊された岩波新書の「津波災害」によると、原因説で、高波は風、高潮は低気圧(引力は大潮で勘違いする人が多い。)によるもの。
・津波だけは決定的に違う。他のものは海面のだけで海底では何も起きないが、津波は水の塊が動く感じ。いわば大きな水鉄砲。
・では喪服は何故黒か。
・日本はかつて白だった。韓国も白。
・まず、明治天皇崩御の際、外国人が黒の喪服で参列した。しかし、民衆はまだ白だった。
・日本は現場(民衆)が強い。
・太平洋戦争で葬儀が頻発。貸衣装屋は白も黒も用意したが、クリーニング代が大変なので、汚れの目立たない黒になった。
・常識も1回疑わないとダメ。
・20世紀は成長社会。みんな一緒。「正解」主義。答えは1つ。情報処理力が求められる。
・21世紀は成熟社会。それぞれ一人一人。「納得解」正解はないので、誰が聞いても何できるような答えを出す。他人の知識や経験を編集する能力、情報編集力が必要。
・正解がないので、学校現場ではつらい。
・タイヤに付加価値を付ける。コスト、技術は度外視。
・わかる人と聞くと黙ってしまうのは、日本だけ。それは100%の回答をしようとしているから。これだと思考密度が低くなる。
・座禅のように黙っているのは考えない時。
・スレッドを立てることが大事。答えが進化する。修正主義。
・会議室では新規事業は生まれない。
・ブレストをする。ルールとしては、まずまともな案を言わない。言うと議論が終わる。そして否定しない。褒める。
・ブレストでチャットをするだけで、5秒前までは思いつかなかったようなことが思いつく。
・脳と脳がネットワークする。
・つなげる力がクリエイティブの力。
・こういう授業をしていると子どもたちがどうなるか。他者をリスペクトするようになる。他者がいて自分があることに気づく。
・タイヤが何故黒いのか。カーボンが入っているから。今後は色つきや夜行塗料入りなども出る。
・一気にみんな意見を聞くことは聖徳太子ではないので出来ないが、ネットを活用して一気に考えを送信してもらい、画面に出るような授業も実際に可能でやっている。
・総合学習と道徳の時間を使って大人と子どもが一緒に授業する。これによって地域の大人が学校の味方になる。
・運動会や飲み会に参加した程度では地域の大人は学校の本当の味方にはならない。
・情報処理力:情報編集力の授業を小学校で9:1、中学校で7:3、高校で5:5、大学で0:10にした方がいい。しかし、日本は大学でも詰め込み教育。
・まず一歩を踏み出すことが大事。

 以上です。
 ご講演後も懇親会に参加して頂き、色々と話を聞くことができました。
 実際に教師を味方にするには、一番嫌な仕事を引き受けたそうです。例えば、モンスターペアレンツ対策など。藤原先生がうまくいったのは、学校の先生を否定せず、むしろ本来の業務に専念してもらい、校長がバックオフィスの部分に専念したからではないでしょうか。
 
 今日の話は非常に参考になりましたので、我々も失敗を恐れず一歩を踏み出したいと思います。