明日の千葉を見つめて
活動日記
ニーズは応えるもの?創るもの?
11/11/09

 今日は山口情報芸術センター、通称YCAM(ワイカム)を視察してきました。YCAMは、Yamaguchi Center for Arts and Mediaの頭文字をとったもので、3つのスタジオ(展示スペース・劇場・ミニシアター)と市立中央図書館からなる複合施設で、2003年11月に開館し、年間80万人弱の来館者数を誇る文化施設です。
 特徴としては、メディアアートを中心におき、作品の展示、演劇、ダンスパフォーマンスの公演、映画上映、サウンドイベント、ワークショップやレクチャーなどを開催しています。特に、さまざまなアーティストが山口に滞在し、YCAMの専門スタッフとコラボレーションを行うという、作品を全く所蔵しない滞在型のものであることが従来のものとの大きな違いであるそうです。
 館長は、挨拶の中で、やたらネットワークという言葉を強調しており、当センターのHPの施設紹介の中でも「ここ山口という地域と世界を結びながら、さまざまな人々が出会い、対話し、新たな情報芸術の創造と発信の拠点となることを目指しています。」と記されており、結びつきを大事にしていることがよくわかります。
 また、外観は、「ビッグウェーブやまぐち」という別名があるように、3つの山がある波状の屋根が特徴で、ガラス張りで端から端まで見えることもデザインコンセプトの一つだそうです。

 そもそもメディアアートって何?って思う方も多いのではないでしょうか。視察された他の議長さん方も理解に苦しんだのではないかと思います。ビデオやコンピュータ技術をはじめとする新技術に触発され生まれた美術であり、こういった新技術の使用を積極的に志向する芸術の総称であります。多分、この説明ではピンと来ないと思いますし、私もうまく説明ができません。そして、当然疑問として湧いてくるのが、山口市民がどれだけこの施設やコンセプトに理解しているのかということです。職員の方に思いきって聞いてみたところ、やはり反対運動があり、この建設を反対・凍結を主張した市長が当選したようです。しかし、凍結は現実的ではなく、市民委員会による事業への市民参加など話し合いをすすめ、結局工事や事業は再開され、会館に至ったようです。(結局、その市長も一期限りだったとか・・・)
 また、この特徴的な設計からわかるように、電気代などの光熱水費だけで年間1億7千万、人件費や製作費などを含めると年間4億円を超える維持費がかかるようで、建設費も70億と高額な支出も反対の大きな要因だったようです。
 しかし、館長は胸を張って言います。「ここはオンリーワンの施設だ」と。「他(都市)にないものをここでは創造して発信している」「雪舟も死んで80年後に評価された」「ここではニーズに応えるのではなく、つくっている」・・・etc.
 私もこれらの言葉に考えさせられました。行政の仕事は、ニーズに応えるだけではなく、確かに創りだす必要もあると言えます。民間でできないものを行政が行うことも、行政の使命です。そういう意味では、YCAMの存在は意義や価値はあります。しかし、かかる費用とのバランスがどうしても引っかかるところです。他都市の議員である私が言うのもなんですが、市単独事業で山口市が行うのは限界があると思います。コンセプトを理解してもらい、民間のパトロンを増やさないといけません。また、日本の文化水準向上という観点から国からも支援をもらえるよう働きかけるべきだと思います。また、インプットの部分だけでなく、アウトプットやアウトカムの部分ももっと山口市民に理解して頂かないといけないと思います。そして、山口市民にとってどういう価値を産み出すのか、そこを常に運営者側は意識しなければなりません。もしかしたら、メディアアートのメッカになって、周辺に専門学校や大学が集積したり、アーティストがどんどん山口に住むようになり、観光客も増えるかもしれません。(もしかしたら山口市はそこを狙っているのかな??)ではそのための戦略、戦術はどうするのか。こういったことを考えるだけでワクワクしてきますね。
 この施設をムダと切り捨てるのは簡単です。また逆に理解できない方々を切り捨てるのも簡単です。しかし、私はこの価値を大事にしたいし、多くの人々に共感してもらいたいと思います。ネットワークを強調しているわけですから、もっと多くのファンを巻き込んで行きましょう!陰ながら応援しています。