明日の千葉を見つめて
活動日記
今後の墓地行政のあり方
12/04/24

 今日は午前中に保健消防委員協議会として、委員会発議に係る有識者を招いての講演会を全員協議会室で開催しました。

 現在、保健消防委員会では、「千葉市墓地等の経営の許可等に関する条例の改正案」を委員会発議で提案しようと議論しているところですが、有識者からも参考意見を聴取すべきという発言もあったことから、今回の講演会を企画することにしました。

 今回の講師として、株式会社第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部 研究開発室 主任研究員の小谷みどり氏をお招きして、「今後の墓地行政のあり方」というテーマでご講演頂きました。小谷氏の専門は、「死生学」、「生活設計論」で、東大医学部の客員研究員、立教セカンドステージ大学の兼任講師のほか、横浜市の墓地問題研究会委員、本市の新形態墓地計画検討会委員なども務められており、著書としても『変わるお葬式、消えるお墓〈新版〉』(岩波書店)、『こんな風に逝きたい~ホスピスからお墓まで』(講談社)などを執筆しており、中立的な視点で墓地行政に詳しい方であることから、今回、人選となったところです。

 話はまず、日本の墓の歴史から入りました。現在の日本のお墓は「○○家之墓」とか「先祖代々之墓」とか非常に歴史が古いように感じますが、実は、このような「家墓」が一般化したのは大正期だと言われているそうです。当時はまだ土葬がメインで、火葬が全国平均で50%を越えたのは、昭和10年とのこと。土葬では複数の遺体を埋葬をするのは限度があることから、現在の火葬による遺骨を納める形態は、火葬が普及して以後のことと考えられます。

 墓地は、民法で「祭祀財産」と位置付けられております。祭祀財産とは、相続財産と違い、財産分与をせずに誰か一人が継承しなければならない財産です。これは明治民法の「家督相続ノ特権ニ属ス」に由来しており、現在もその名残で二男が新しい墓地を造らなければいけないとか、娘を全員嫁に出してしまったので、墓を守る人がいないと悩まれる方が多いですが、現行民法では「慣習に従って」という文言があるだけ(その「慣習」とは何かという議論はありますが。)ですから、別に家督相続をした人のみの権利ではないということであります。

 厚労省などのデータから現在は「多死社会」であるため、葬儀や墓地ニーズは高まると思われがちですが、実際はそうではないといいます。23区内では3割の方が葬儀を行わないそうです。また、出生数が少ない(少子化傾向の)ため、墓を継承する人がいなくなるわけですから、墓地ニーズが高まるとも言えないというが先生の見解であります。

 さらに、少子化傾向のみならず、三世代同居率の低下、一人暮らし高齢者や生涯未婚齢者の増加、無縁墳墓に対する意識の変化などから、墓地ニーズが変わってきていることが読み取れます。

 もう一つの問題は、「多様化する意識」であります。墓参に対する意識は変わらないものの、誰とお墓に入るかという意識が変わってきており、生前墓も増えているようです。

 その他にも、パステルカラーの墓石、メッセージ入りの墓石などがあったり、墓地に対する考え方も変わってきているようです。

 このような状態から、無縁墓地化が進みそうであることから、合葬墓を作るところが増えてきています。しかし、面白いことに意外に子どもがいる人が合葬墓に入りたがる人が多いらしいです。恐らく子どもに迷惑をかけたくないという発想からなんだと思います。つまり、売る側の考えと買う側の考えは全く違うわけですから、合葬墓をかわいそうな人向けの墓地として販売すると失敗するというのが先生の見解です。

 最後に、公営墓地の役割について、無縁化させない仕組みとして、スクラップアンドビルドの効率性、期限更新型や合葬型の陵墓などを提案するとともに、現在の少子多死化ではなく、将来的な少子少死化社会を見据えた長期的視点を持ちながら、民間霊園、寺院霊園とのすみ分けを行わなければならないと提言されました。

 現在、民間墓地は余っており、墓地は自転車操業状態だといいます。先生の見解では、基本的に火葬と墓地は行政の仕事であるとのことで、今後は横浜のメモリアルグリーンのような樹木葬や合葬墓など多様な墓地ニーズに応えられる公園墓地がいいのではないかとのことでした。

 

 最後に、祭祀財産というのは儒教の教えに基づくものだが、現在では日本しか採用しておらず、台湾や韓国でも意識改革は進んでいるので、日本でも意識改革ができるのではないかと述べれておりました。

 

 今回の講演を伺い、基本的には改正の方向性は間違っていないと確信しましたが、逆に墓地推進派(供給側?)の意見も聞いてみたいと思いました。

 様々な意見を聞きながら、最終的な合意形成をしていきたいと思います。