明日の千葉を見つめて
活動日記
青森に来てます。
12/06/29

 今日は青森に視察に来ています。
 視察項目は、「コンパクトシティの取り組みと中心市街地の活性化」と「三内丸山遺跡の特別史跡指定までの取り組み」についてです。
 前者については、効率的かつ効果的なまちづくりをしていくには、コンパクトシティという考え方は常に念頭においておくべきであり、また中心市街地の活性化も、まちの活気を全体に波及させていくためにも象徴ともいえる中心市街地をまずは活性化させることもまちづくりの重要な視点であることから、富山市とともに改正まちづくり三法に基づく「中心市街地活性化基本計画」の第1号認定を受けた青森市を視察し、これまでの成果や今後の課題を探ろうというものです。
 後者については、このブログでも何度も書いておりますが、加曽利貝塚の特別史跡指定へ向けた調査費を今年度当初予算で計上したことから、同様に縄文時代の遺跡で、すでに特別史跡の指定を受けている「三内丸山遺跡」のこれまでの取り組みについて調査することによって、今後の参考にすることを目的としています。

 最初は、「コンパクトシティの取り組み」についてです。
 対応して下さったのは、都市整備部都市政策課都市計画チームのチームリーダー(主幹)の方で、資料に基づいて説明してくださいました。
 まちづくりを語る上で、都市形成の変遷を見ていくことが不可欠であることから、まずは青森市の概要や都市計画の歴史についてご教授頂きました。本題から外れますが、カシス(黒房スグリ)の生産量が全国一位ということは知りませんでした。青森といえばリンゴというイメージがありますが、もちろん全国トップクラスの生産量は誇るものの、圧倒的なのは弘前市のようです。
 話を元に戻します。
 ご多分に漏れず青森市も市町村合併を繰り返し、市域を拡大してきました。直近では、平成大合併に伴い、浪岡町を合併し、人口30万人を超えたことから、全国37番目の中核市に移行しております。
 都市計画については、新都市計画法施行に伴い、線引きをし、当初の市街化区域は約3,760haでスタートしましたが段階的に拡大し、現在は4,991haとなっております。
 このような市街地拡大に伴い、当然ながら多大な行政投資を余儀なくされており、加えて、日本有数の豪雪地域であることから、道路延長が増加した結果、毎年、約20億という多額の除雪費が計上されております。昨年度(23年度)は特にひどく約34億円もの除雪費用がかかったようで、これだけで小学校が2校建てられると嘆いておりました。ちなみに、昨年度の青森市の除排雪実施延長は車道約1,352km、歩道175kmで、直線にすると青森市から岡山市まで行ける距離だそうです。
 また、公共公益施設(総合病院や図書館など)や百貨店の郊外移転や大規模小売店の郊外立地が中心市街地空洞化を助長しました。
 そこで、同市は、増大する行政コストの削減、郊外のスプロール化や中心市街地の空洞化を食い止めるため、都市計画マスタープラン(平成11年策定)において「①市街地の拡大に伴う新たな行財政需要の抑制」「②過去のストックを有効活用した効率的で効果的な都市整備」「③市街地の周辺に広がる自然・農業環境との調和:を目指した「コンパクトシティの形成」を都市づくりの基本理念に掲げ、都市整備を進めております。この都市マスで、初めて「コンパクトシティ」という言葉を明文化したとのことです。
 なお、海と急峻な地形によって隣接都市と分断されている地形的な要素も外せないとのことで、市民の96%が市内で消費しているというポイントも見逃せません。
 原点は「雪」でありますが、環境にやさしく、機能的で快適な持続可能な都市づくりには、このコンパクトシティの発想は必然だったのでしょう。
 具体的には、「①機能的で効率的な土地利用誘導」「②おのおのの拠点の役割分担の下での重点拠点整備」「③公共交通を基本とする交通体系の確立」を主軸に置き、土地利用では、市内を「インナー」、「ミッド」、「アウター」の3ゾーンに分類し、各ゾーンごとに交通体系の整備方針を定め、まちづくりを進めています。原則、「アウター」と位置づけられたゾーンでは開発を行わず、学術、芸術、文化活動や、自然を楽しむレクレーションエリアとして維持しております。
 こういった考えに基づき、郊外開発を抑制するため、全国の自治体に先駆けて「特別用途地区内における建築物の制限に関する条例」を制定し、建物の用途制限がほとんどない準工業地域において、床面積一万平方メートル以上の大規模集客施設(店舗、飲食店、映画館など)を規制をしました。また、地区計画区域を設定し、店舗面積の合計が3,000㎡を超える建築物の立地も規制しております。
 ただ、メディア等では、この厳しい規制によって、せっかく開業した新幹線の新青森駅周辺の開発が進んでいないと批判を受けることになっているようですが、そもそも市内の既存店舗も3,000㎡以下のものばかりであることから考えれば、この制限が原因で進まないわけではないと語気を強めておりました。
 その後、簡単に中心市街地の活性化策も紹介してくださいました。
 まず、交流街づくりとして、平成12年度には、青森駅前再開発に伴い、地下に生鮮市場、上層階に市の図書館、中間階に商業施設や公共施設が入居している地下1階、地上9階建てビル(「AUGA」アウガ)を整備したり、市有地を活用した商業ベンチャー支援施設を設置したパサージュ広場をオープンするなど、歩行者通行量が増加という成果が上がっているそうです。また、冬期バリアフリー計画では、中心市街地を重点整備地区として、除雪から融雪のための整備も進めています。
 次に、まちなか居住の推進として、ミッドライフタワーという駅前再開発地区の一角にケア付きの高齢者対応マンションや民設公営の借り上げ公営住宅が完成するなど、近年、中心市街地の建築が急増し、「交流できる、買い回れる、暮らせる」中心市街地が、徐々に再生されつつあるようです。
 さらに、平成21年10月に「青森市総合都市交通戦略」を策定し、コンパクトシティ形成を支える効率的で円滑な都市交通環境の形成を基本方針として各種整備を促進しております。具体的にはバス交通を環状水準を維持しながら、鉄道網とバス交通の連携強化を図っております。
 そして、平成22年12月にまちづくり最上位指針である「青森市新総合計画」を策定し、都市づくりの基本的な考え方として「人と環境にやさしいコンパクトシティ」を位置づけ、コンパクトシティ形成を後押ししています。
 意見交換として一番盛り上がったのは、やっぱり「課題は地権者の理解がカギだ」という点です。私も調整区域の多い若葉区選出のため、地権者の方々から調整区域の見直しをして欲しい旨の陳情をよく頂きます。現実問題、調整区域としての合理的な理由を失っているような地域もあり、多少の見直しや弾力的な運用を検討すべきと考えている一方、無秩序な市街地の拡大には反対ですので、我々議員も地権者の方々とじっくり話し合い、理解を求めていくという姿勢は共感するところがあります。
 少子高齢化が進み、地方自治体の財政が一段と厳しさを増す中で、拡大路線を転換した青森市の方針は、地方自治体におけるまちづくりの大きな方向性を示しています。

 続いて、中心市街地活性化につきまして、経済部商店街振興課中心市街地活性化チームの主査にレクチャーを受けました。
 前述したとおり、青森市は改正まちづくり三法に基づく「中心市街地活性化基本計画」の認定第1号であります。そもそも、まちづくり三法は中心市街地活性化法及び各種の支援策により活性化を実現しようと平成10年に制定されたものでありましたが、制定から7年を経て、中心市街地の活性化に取り組む地域は数多くあるものの、目に見える効果が挙がっているところは少なく、総じて言えば中心市街地の状況は必ずしも改善しておらず、現状のまま中心市街地が衰退し、市街地の機能が郊外へ拡散していくと、少子高齢化により人口が減少に転じる中で、地方財政が都市のインフラ維持のためのコストに耐えられなくなるとともに、高齢化や治安の悪化等によりコミュニティが荒廃しつつありました。こうした危機感から、近年、市街地の郊外への拡散を抑制し、まちの機能を中心市街地に集中させるコンパクトシティの考え方が提唱され、まちづくり三法の見直しが進められ、平成18年5月、まちづくり三法の改正法案が成立したのです。このような経緯から考えれば、以前からコンパクトシティの考えを提唱していた青森市が認定第1号になるのは必然であると言えます。
 さて、その認定第1号となった「青森市中心市街地活性化計画」は平成18年度に策定され、平成19年2月から平成24年3月までの5年2か月を計画期間とし、「歩いて暮らすことのできる質の高い生活空間(ウォーカブルタウン)の創造」を目標とし、4つの目標に対し、それぞれ具体的な評価指標を設定しました。「①多くの市民が賑わう中心市街地(街の楽しみづくり)」には「歩行者通行量」を、「②多くの観光客を集客する中心市街地(交流街づくり)」には「年間観光施設入込客数」を、「③歩いて暮らしやすい中心市街地(街ぐらし)」には「夜間人口」を、「④中心市街地の商業の活性化」には「空き地・空き店舗率」と「小売業年間商品販売額」を設定しています。
 その主な取り組み内容としては、平成23年1月に「ねぶたの家ワ・ラッセ(文化観光交流施設整備事業)」のオープン、平成22年に「青森駅周辺地区における総合交通ターミナル機能の強化(青森駅周辺整備事業)」を図り、平成21年3月に「まちなか温泉・センターホテル(まちなかホット・ぶらっと推進事業)」を開業するといったハード整備とともに、「じゃわめぐ青森発掘・発信事業」では青森市の持つ「食」「歴史」「芸術」等の現地資源を活かし、青森ならではの魅力づくりを通じて、にぎわい創出と地域経済の活性化を図ってきました。ちなみに「じゃわめぐ」とは「ワクワクする」という意味の方言らしいです。具体的には、市民の台所である「古川市場」でどんぶりご飯に、市場内で販売しておる新鮮な刺身をお好みでのせたオリジナル丼を食べられる「のっけ丼」を平成21年から実施しています。私も昼ご飯として食べてきましたが、非常に美味しく面白い取り組みだと思いました。ちなみにチケット制になっており、まず1000円分のチケットを買い、どんぶりにご飯を入れてもらいます。(大盛り200円・普通100円)そして、各店舗を廻り、好きな食材をのせていきます。値段は基本100円ですが、イクラや中トロなどの高級食材は200円とか少し高めの値段設定になっています。最初は若干高いかなぁという印象を受けましたが、1000円分を全て使い切った自分だけの「のっけ丼」を見ましたら、これだけのボリュームのものを1000円で食べられるというのはかなりのお得感があると思います。青森にお越しの際は是非お立ち寄り下さい。(笑)
 またもや若干脱線しましたが、このようなハード、ソフト両面から様々な事業展開をしてきて、各指標とも増加の傾向を示し、一定の効果が表れてると考えられるものの、残念ながら各指標とも目標値には及ばず、目標未達成という結果になってしました。(最終的な報告は今日国へ提出したとのことです。)
 そこで、第2期計画策定に当たっては、これまでの取り組みについて徹底的に検証して課題の分析をし、平成27年度に予定されている北海道新幹線開業を見据えながら、スピード感を持った内容に改めております。その言葉が示す通り、計画書の29ページまでは、第1期計画の検証がびっしりと書かれております。そして、第2期計画も無事平成24年3月に認定を受けることができたのであります。
 計画の基本方針は、第1期計画を基本的に踏襲するもの、ウォーカブルタウンの「創造」から「確立」へと着実なステップアップを図るものとしております。
 目標数値については、第1期計画からいくつか変更点があります。まず、中心市街地の商業の活性化の指標であった小売業年間商品販売額が参考指標になったこと、街の楽しみづくりの指標の歩行者交通量については調査地点を見直すとともに新たに6か所増やして合計20か所にしたこと、交流街づくりの年間観光施設入込客数のアスパム分については青森県の観光統計の集計方法と同様にしたことなどがあります。
 具体的な新規事業としては、東口・西口の機能分担を図り、自由通路、駅、都市サービス施設、交通ターミナルを一体的に整備する『青森駅周辺地区整備推進事業』、のっけ丼の古川市場「街区」の一部を居住や高齢者自立支援施設、商業など複合機能を有する施設を整備する『(仮称)古川1丁目12番地区優良建築物等整備事業』、AUGAの地下にB級グルメなどを食せる青森の「食」をテーマにしたグルメロードの形成と他の「食」に関する取り組みとの連携による回遊性向上に向けた情報発信等を行う『(仮称)あおもり「食」街道めぐり事業』、商工会議所青年部が毎年7月に行っている「Japan Blues Festival」の10周年を契機に「ブルースのまち青森」の定着化を目指す『(仮称)Bluesが聴こえる街あおもり創成事業』、各商店街のコンセプトについて学生からアイディアを募り、そのプランに基づく機能配置を実施しようする商店街に必要経費を支援する『中心商店街にぎわい創出』、中心市街地の空き店舗に出店しようとする事業者に対して家賃及び店舗改修費用の一部を補助する『商店街空き店舗対策事業』などがあります。
 このように、非常に、意欲的な取り組みが多く、本市でも参考になるものが多くありました。今回の計画の事業ではないのですが、特にパサージュ広場の取り組みは、私が栄町でやってみたいと思っている構想に近く、大変興味深く聞かせてもらいました。「パサージュ」はフランス語で「小径(こみち)」を意味し、車がなく安心して歩ける場所に、人々が街歩きを楽しめるよう、若い人や意欲のある人が商売を始められる面白いストリートやひろばを作り出そうと、市がパサージュ広場に仮設の店舗を設置し、出店した商業ベンチャーに対して経営指導や開業支援を行うものです。平たく言えば、出店型インキュベート施設といってもいいのではないかと思います。イメージ的には帯広市の北の屋台や八戸市のみろく横丁などの屋台村に似た制度だと思います。出店条件は、将来、中心市街地での開業意欲のある方を対象に、飲食系及び物販・サービス系の9店舗を貸し出します。飲食系は原則3年間、物販・サービス系は原則1年間の営業期間となっております。平成13年度からこの事業は行っていますが、これまで23店舗が出店し、そのうち9店舗が実際に中心市街地に出店しているそうです。これをさらに加速させるために、第2期計画から始まった商店街空き店舗対策事業補助金制度を積極的に活用していきたいと述べておりました。今後の事業展開に期待したいと思います。

 長くなったので、今日はこのあたりで。三内丸山遺跡の報告は現地視察の報告も兼ねて明日に譲ります。