明日の千葉を見つめて
議会レポート
海外行政視察報告(ヨーロッパ)


 今回の千葉市議会海外行政視察団はヨーロッパの環境行政、福祉行政、都市再開発、行政コスト削減政策、教育行政を学びに5カ国6都市10施設を訪問視察した。
 その内、環境行政視察だけでも、4施設あり、今回の主要な視察項目になっている。我々、市民自由クラブもこの環境行政視察に絞って報告したい。

 まず、はじめに訪問したのがデュアル・システム・ドイツ社(DSD社)である。設立当初は、ボンに在ったが、現在はケルン市に移転している。デュアル・システムとは、包装廃棄物の回収再利用のシステムである。
 我が国でも平成7年6月に「容器包装に係わる分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(以下、容器包装リサイクル法)」が制定され、来年の4月には3 品目が加わり、10品目がこの法律に基づく分別収集の対象となる。このような時期だけに容器リサイクルの先進国であるドイツを視察できたことは、大変意義 深いものである。
 本国とドイツの違いは、容器廃棄物の処理責任を市町村でなく排出事業者に求めているところである。ドイツは我が国と同じく工業生産国であり、他のヨー ロッパの国々比べて、人口密度が高い。そのために1984年には、ゴミの処理能力が危機的状況を迎えてしまった。このままでは1990年代の半ばまでに は、ゴミの埋立場もなくなってしまうという報告があり、また当時はゴミ焼却に対する住民の反発が根強かった。そのためにゴミはリサイクルするしかなかっ た。
 なぜ一番最初に容器包装がその対象になったかというと、家庭から出るゴミの50%(重さで言うと30%)が容器包装ゴミだったからである。
 基本構想は当時の環境大臣であったトップファー氏が提案した。当初は、容器包装排出事業者が回収もやるという案だったが、容器包装排出事業者と経済団体 が、代替会社を設立するという提案をし、現在の形となった。この会社の株主(約600社)は、容器包装に関係する会社と一般のお店などであり、経済団体連 盟などが支援をしている。
 ここで注目すべき点は、行政からの補助金は一切ないということである。完全に独立採算性を採っており、損が出た場合は株主が責任を被る。
 では通常の民間企業なのかといえば、そうではない。通常ならば利益を追求するが、この会社は利益を求めない。ある意味NPOに近いものがある。
 この形態のメリットというのは、企業形態を採っているため、経済のシンボルになるし、当然損をしないために企業努力行う。そのために無駄な経費は削減される。利益を追求しないので、市民に余計な負担もかからない。こういったメリットがみられる。
 ただ、今回説明員をつとめてくれたビアリー女史も言っていたが、このシステムを成立させるのには、ドイツ人の国民性も大きく係わってくるということを書き加えておきたい。
 
 さて、運営資金はどのように賄っているのか。容器包装の大きさによって違うが、製造物にそのコストがオンされている。飲料水を例にとってみると、


グラスボトル 115.96g×0.15DM/kg =1.74pf
キャップ 2.26g×0.56DM/kg =0.13pf
プラスティック   6.28g×2.95DM/kg =1.85pf
トータル
=3.72pf
アイテムフィー(×0.60) 
=4.32pf
売り上げに乗じての還元(-9.5%)
-0.42pf
契約代金  
=3.90pf

 こういった計算方式で、飲料水一本当たりにコストをのっける。

 次に回収方法である。
 基本的にはガラスを白、茶、緑にわけ、紙は青いボックスに、その他の軽い包装容器は、黄色いボックスに入れるといった分別収集である。
 この中に入れて良いのは、DSD社と契約したグリューネ・プンクト(DER GRUNE PUNKT)と いうマークの付いた包装容器だけである。それ以外は、グレーのコンテナに入れ、これらの回収者は市町村である。これらは大きさによって料金が違うので、市 民は分別収集に協力するようになる。今後のDSD社は、黄色いコンテナの分別を全自動化し、より一層の経費削減をはかるそうだ。
 以上、DSD社の報告である。

 次に、マインツ市の清掃局である。
 マインツ市はケルン市の隣の市であり、人口20万の都市である。
 ここの清掃局も独立採算をとっている。この市では、このほかにも3つ(汚水下水処理事業・墓地事業・コンピューターセンター)が独立採算をとっている。運営資金は市民から直接取っている。だから市からの補助金はない。
 ここの清掃局の役目は一般廃棄物の処理である。産業廃棄物も収拾しているが、処理は民間に委託している。
 処理方法は様々だが、ここでも注目してきたいのは、市の事業を独立採算でやっていることである。日本では税金で賄っているため、どうしても使い先がわか らず、アレも税金、これも税金といった批判がよく聞かれる。今後は市民の意識向上のためにも、この独立採算というのは興味深い。実際ゴミを出すのにお金が かかるとなれば、ゴミの排出量も減ってくるだろう。このようにこの場では考えられた。 その他、プフシュラーク廃棄処分場、ウィーンでは、シメリング浄化 センターを視察した。
 プフシュラーク廃棄処分場は、埋立処分場であり、そこから出るメタンガスの活用法、安全性の確保を学んだ。本市でも、新内陸処分場を建設中であり、その安全管理、跡地利用について考えていかなければならない。
 シメリング浄化センターでは焼却施設を見学した。本市では、千葉みなと新清掃工場が計画中であり、ここでも今後の施設建設の考え方を学んだ。 今回のヨーロッパ環境行政について感じたことは、すべてが合理的であり、使えるものをすべて使うといった無駄の少ないシステム作りが出来ているということである。
 現在、景気低迷のなか、大変財源の確保が難しくなっている現在、今後いかに行政コストを削減できるかが課題となってくる。我々市民自由クラブも今回の海外行政視察の経験を生かし、市政に反映させていきたいと思う。